私たちが止めておけば良かったのか…

学生時代からの私の友人R子は、誰もが認める正統派の美人でした。基本的には性格が良いのですが、そこに恋愛がからむと一気にだらしなくなるタイプでした。R子と私は、一時期ルームシェアもしていましたが、すぐに彼氏候補の男性を連れ込んで泊まらせるのが嫌でした。

 

R子は社会人になってすぐ、20代前半で結婚しました。職場の上司に逆プロポーズをしたそうです。相手のTさんは30代半ばで、かなりの美形。いかにも美男美女の夫婦だったので、私たち友人が、祝福しながらも嫉妬してしまうほどお似合いでした。
TさんはR子に逆プロポーズされただけあって、美形でモテそうなのに、人見知りと無口が災いして、あまり恋愛経験がありませんでした。夫婦関係は完全にR子がリードしていました。

 

月に一度のワイン会

R子と私たち友人は、月イチでワイン会をしていました。元々は学生時代の仲間でしたが、いつの間にかワインバーの常連さんや、ワインのSNSつながりなど、男女混合になり、参加者も増えていきました。

 

あるときから、幹事の知人であるKさんという男性が参加するようになりました。熊みたいに毛深くて、もっさりとした人の好いおじさんというイメージでしたが、年齢を聞くとまだ30代前半でした。
Kさんは、無邪気に話しかけてくるR子に、すぐ一目惚れをしました。私は、あれほど分かりやすい一目惚れは見たことがありません。誰もが、ああ惚れたんだなあと分かりました。そして同時に、R子の悪い癖が出るなあとも、みんな思っていたはずです。

 

その夜、R子はKさんにまとわりつき、ワインの酔いもあって一緒に帰っていきました。その後も、数か月にわたってR子とKさんは一緒にワイン会に参加し、2人で帰っていきました。私たちは、色々思うところありましたが、もう学生じゃないんだし放っておこうという結論を出しました。今思えば、止めておけばよかったと後悔しています。私は正直、面白がっていた部分もありました。

 

半年くらいして、突然R子の夫Tさんがワイン会に初めてやって来ました。「すごく楽しそうだから自分も来てみました」と話すTさんは、相変わらずイケメンでしたが、まったく楽しそうには見えませんでした。私たちは、もうすぐR子とKさんが連れだって店に入って来ることを予期しながら怯えました。

 

でも、2人は来ませんでした。Tさんは帰り際に言いました。
「気にしないでください。朝ね、僕も今日は参加してみようかなってR子に言っておいたんですよ。だから来ないんですね、きっと」

 

慰謝料は無かったものの、結局離婚に

R子はイケイケな性格ですが、不倫相手のKさんと一緒のところを夫に見られて平気なほどは、神経がず太くなかったのでしょう。
R子は翌月に離婚されました。慰謝料は無しでしたが、義理の両親と実の両親の目の前で、自分が有責なことを認めさせられたそうです。
それがR子にとって一番の罰だと、Tさんは考えたのでしょう。
Tさんは、かなり前からKさんとR子のラインのやりとりを把握しており、ワイン会にいけしゃあしゃあと2人で来たなら、そして知らばっくれたなら、しっかり慰謝料も取るつもりだったようです。

 

Kさんは、慰謝料の請求をされていませんが70万を封筒に入れて、離婚後のTさん宅へ持参したそうです。Tさんは無表情で受け取ったとのことです。
R子は離婚前後、ただひたすらキョトンとしていました。

 

Kさんとの不倫は、結局恋愛には発展しませんでした。R子とKさんが別れた理由は、不倫がばれたことではなく、別に本気で好きじゃなかったからだとR子は言っています。正直お説教したい気もありますが、あの最初の夜に、私たちが止めなかったという罪悪感もあるので、ノーコメントでなるべく距離を置くようにしています。
他の友人たちも、R子とは距離を置くようになっています。

 

※R子さんにとって、結婚生活というのは何だったのでしょうか。
もしも満足していたのなら、別に本気で好きじゃなかったという適当な恋愛ごっこで失ってしまった今、何を思っているのでしょう。
自ら慰謝料を持参したというKさんは、根は真面目な人なのかもしれません。70万円という金額が、なんとか集めた感じがしてリアルですね。